俺のことずっと好きでいろよ
そう。コイツは家族の前では寡黙だ。

人に意見もしなければ、自分のことも話さない。
ただ、ただ、そこにいる。

親2人はなぜか俺にばっかりかまってきて、翔希のことはかまわない。

それでも翔希は勝手にすごくなって、勝手に強豪校に行ってしまった。

きっと、かまう必要がないのだろうと思う。
自分で全部解決できるし、人の助けなんていらないヤツなのだ。

まぁ言ってみれば、野球のポテンシャルだけじゃなく、精神力、そして自立能力、自己解決力、全部そなえたヤツだってことだ。

だから、強豪校行って、寮はいって、1年の夏の大会から何度も登板して好成績を収めることもできる。

ほんとにほんとにすごいヤツなのだ。

茉祐子もきっと…そういうところがよかったのかもしれない。

俺は弱いからな…

「ごちそうさま。」

食べ終わると、翔希は立ち上がり、そのまま庭にでていった。

大方、シャドーピッチングでもするのだろう…

俺に受けてくれとは絶対言わないんだな。

アイツも知ってるだろうに。
俺が、今キャッチャーをやってることは…。
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