俺のことずっと好きでいろよ
キャプテンは真面目そうな人だった。

「じゃあ。こっちこい。今宮。」

キャプテンに呼ばれて1年のいわゆる補欠メンバーばっかりがいる、Cチームに案内された。

見れば…グランドからは程遠いサブグランドみたいなとこで…
みんな筋トレやら、柔軟やらをやってる…

一眼見れば分かるほど完全にヤル気のないヤツもいる…

くっそ…こんなとこ早く這い出してやる…


「今宮って…相模原行ったんじゃないの?」

隣で柔軟やってたヤツが俺に声をかけてきた。

「それは弟だよ。俺は出来の悪い兄貴の方だから。」

「え?そう…じゃ俺と同じだな。」

「え?」

「俺の場合は兄貴が出来いいんだけど…俺、笠原咲也(かさはらさくや)。」

「って…え?笠原拓也(かさはらたくや)。」

「そ、兄貴は鳴り物入りでプロ入ってんのにな。俺はここでCチームで燻ってる。」

笠原拓也といえば甲子園で大活躍した打者で、高卒でプロ入りした選手だ。

まだ2年目だけどそれでも一軍で出場もしていたはずだ。

「ま、よろしくな。」

「おう。」

俺たちは固く握手した。
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