この曇り空は私と似ていた
「それって進路希望調査表でしょ?」

へ?私は目を丸くした。そのコロッケを揚げながらでも視界に入ってしまうのが何より不思議なことだと思った。

きっとまた怒られるんだろうな。

私は心の中でため息をつく。

「あんたさ、高校行く気はあんの?」

母はこんな私にうんざりしているような口調で言った。

「それは……」

ない。でもそう言ってしまえば、もっとこぴっどく叱られそうで私は口をつぐむ。

「まだ決まってないのね?いい加減決めなさい!何かやりたいこととかないの?」

母は今の私の態度で怒りが増したらしく、声の大きさも増す。

やりたいことと言っても何もない。そもそも、好きなものが読書以外、なにもない。一つもないよりかはましかもしれない。けれどそのせいで私は夢もやりたいことも見つからない。だから進路も決まらない。そんな私が大嫌い。

私は慣れているはずの母の怒りの声にいまだに怯えながらも、本当のことを言わないとって口を開く。

「ない……」

すると、母は深くため息をついた。

私も心の中でため息をつく。
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