この曇り空は私と似ていた
母も美華吏も知っている曲ということは少しは有名な曲なのだろう。
元々母は音楽を好きかというと、好きではなさそうな方だ。歌いたいからカラオケに行くわけでもないし。ただ機嫌がいいときに鼻歌を歌うだけ。
そんな母のことだったから、ピアノを弾くところを見るのは、生まれて初めてと言っても、過言ではなかった。
それはさておき、やっぱりこのメロディには不思議と懐かしさと安らぎを感じる。まるで幼い時に聴いていたみたい。
そんなことを考えてるうちにメロディは終わりを告げた。
「よーし。大体は使えるわね。久しぶりに弾いたわ。ピアノなんて」
母はそう言いながらのびをする。
久しぶりに弾いたということはいつぶりに弾いたのだろうか。考えてみればどうでもいいことかもしれない。
「前はいつ弾いたの?」
「いつだったかしら?もう覚えてないわ」
首を傾げながら母は言った。
母もこの人生を生き始めて、もうすぐ五十年が経つ。記憶が曖昧になることだってあるだろう。
「そのメロディ、どこから知ったの?」
やっぱり気になっていたことを聞いてみた。
「知ってるも何も、私が作った曲だもの」
母はきょとんとした顔で言った。
元々母は音楽を好きかというと、好きではなさそうな方だ。歌いたいからカラオケに行くわけでもないし。ただ機嫌がいいときに鼻歌を歌うだけ。
そんな母のことだったから、ピアノを弾くところを見るのは、生まれて初めてと言っても、過言ではなかった。
それはさておき、やっぱりこのメロディには不思議と懐かしさと安らぎを感じる。まるで幼い時に聴いていたみたい。
そんなことを考えてるうちにメロディは終わりを告げた。
「よーし。大体は使えるわね。久しぶりに弾いたわ。ピアノなんて」
母はそう言いながらのびをする。
久しぶりに弾いたということはいつぶりに弾いたのだろうか。考えてみればどうでもいいことかもしれない。
「前はいつ弾いたの?」
「いつだったかしら?もう覚えてないわ」
首を傾げながら母は言った。
母もこの人生を生き始めて、もうすぐ五十年が経つ。記憶が曖昧になることだってあるだろう。
「そのメロディ、どこから知ったの?」
やっぱり気になっていたことを聞いてみた。
「知ってるも何も、私が作った曲だもの」
母はきょとんとした顔で言った。