この曇り空は私と似ていた
美華吏は私の叫び声が聞こえたらしく、こちらを向いてにっこり笑っている。

私はきれいに咲いた花達を踏まないように走り、美華吏の元へ行った。

息が荒い。苦しい。

やっとのことでゴールにつき、私は立ち止まって息を整える。

「思い出せたんだな。信じてたよ」

美華吏は相変わらず優しい。今もああいいながら私の頭をポンポンとしてくる。

美華吏という大切な人のことを、忘れていた私は最悪な人と言われて当然なのに。

「なかなか思い出せなくてごめん!でも思い出したよ。美華吏は過去に臆病で優等生の私を支えてくれていた、私の双子の兄、だったんだね」

そう言った瞬間、瞳からは涙が溢れだす。

この感情は一言では言い表せない。なかなか思い出せなかった悲しみと申し訳なさ。それでも優しくしてくれた嬉しさ。それが複雑に混じりあっている。

「そうだよ。この時をずっと待ってた」

美華吏は穏やかな口調で空を見上げながら言った。

私も空を見上げる。

目の前にはきれいな夕焼けが広がっていた。

林に入る前は曇り空だったのに。

「この写真から思い出したんだ」
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