この曇り空は私と似ていた
兄弟はといえば、私は元から一人っ子。幼い頃はきっと寂しいとか思っていたのだろうな。今ではもう慣れているが。

夕食を食べている間も母からの説教は続き、私は心の中でため息をつくばかりだった。


翌日。目が覚めると、眩しい日差しがカーテンに差し込んでいた。私は目を手でこすりながらおもむろに起き上がり、ベッドから出る。そして机の上に置いてあるスタンドミラーで自分の顔を確認する。

私は中一の夏からずっと髪をセミロングにしている。というのも朝の忙しい時に髪をくくるのがめんどくさくなったからだ。前髪は眉毛のちょっと下まで伸びていて、それが時々視界の邪魔をする。でもそんなのどうでもいい。本当は自分のことが大嫌いな私のことだから瞳もすっぽり前髪で隠して置きたいけれど、学校の校則があるので思い通りにはいかない。

瞳は墨のように真っ黒な色をしていて、鼻筋はほんの少しだけ曲がっている。

私はこの自分の見た目が嫌いかというと嫌いではない。むしろ好きだ。顔つきからして目立たなそうな感じだし、みんなから一目置かれることも絶対にないような気がするからだ。実際、目立ったことなんか一度もないし。

髪を軽く指でとかし、それから一階へ降りる。リビングに行けばすでに、朝食がダイニングテーブルの上に置かれていた。

相変わらず母の作る料理は彩りがあってそれがいい意味で食欲をそそる。私はそれを早々に食べ終えて、キッチンに食器を置く。

母は仕事の出勤時間がいつも早いのでとっくに家を出ていた。ふと時間を見て私も急がなくちゃと身支度を始める。
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