この曇り空は私と似ていた
「おはよう、清加」

部屋を出て階段を降りようとすると、後ろから美華吏の声がした。振り替えって挨拶を返す。

それから一階へ降りると、朝食を作り洗濯物を干す。大分慣れてきたから家事をこなすペースも速くなり、今では時間が余ってしまうほどだ。

「上達してきたわね」

そう褒めてきた母に私は照れたように「そう?」と返した。

「おう。記憶喪失だったのが、嘘のように」

美華吏はそう言って私の頭を撫でる。

大袈裟のように思えたけれど、嬉しい気持ちは変わらなかった。

それから身支度をして、重たい不安と少しのわくわくを抱えながらコスモス高校へと向かう。

「美華吏的にはあるの?自信」

コスモス高校に向かう車の中で、私は気になったので聞いてみた。

「おう。余裕だな。あれぐらい」

自信に満ち溢れた顔をして美華吏は言った。

苦戦していたところがあった私にとっては羨ましい限りだ。

「いいなー。私は……どうだろう?わかんないや」

私がそう言いながら首を傾げると、「大丈夫」と励ましてくれた。

そう言われると大丈夫な気がしてくる。おかげで不安は少し軽くなった。
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