この曇り空は私と似ていた
仕方ない
美華吏に不思議な言葉を言われてから一週間が経った。

あれから不思議な言葉を言われたことはない。最近は何も変化がない日常に違和感を覚えながらもつまらなく感じていた。

そのせいで授業の時もボーッとしているときがあり、まともに集中ができていない。

入りくんだ通学路を歩いていると、秋の涼しい風が吹いて私の頬を撫でる。

その途端、少しだけ肌寒さを感じた。

そろそろ冬服に衣替えしようかな。

私の学校は更衣期間が設定されていなく、自由に衣替えをしている。

そのせいなのか、冬でも半袖でいる人がいて風邪をひかないか心配になる。

私はふと腕につけている茶色い腕時計を見る。

これは中学校に入る時、母が入学祝いとして買ってくれたものだ。

それを見ればHRが始まる十分前だった。

急がなきゃ!

私は焦るように走り出す。

そういえば昨日はお気に入りの本に没頭していて夜更かしをしてしまい、そのせいで寝坊したんだった。

おまけに母にも怒られたから余計に機嫌が悪い。

走っていた途中でふと足がもつれそうになる。

でも遅刻すれば、その分先生や母にごちゃごちゃ言われるから遅れるわけにはいかない。
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