この曇り空は私と似ていた
美華吏が私にねだるように言ってきた。

私は反射的に嫌だと思った。私は勉強が嫌いだ。そして得意でもない。ただいつも平均近くをさ迷っているだけ。そんな私が教えれるわけがない。

私は心の中でため息をつく。

「自分で頑張れば?」

私は棒読みにそう言ってしまったのをすぐさま後悔した。

美華吏はついさっきまで熱心に真剣で勉強をしていたのだ。ならばその行動、思いを踏みにじるわけにはいかない。

「俺、次のテストやばいんだよー。だから頼む!」

美華吏はまた私にねだるように言ってきた。

私はまたひとつ、心の中でため息をつく。

「私、頼りないかもしれないよ」

私はそう言いながら美華吏の隣に座った。

「成績、どれぐらい?」

私は頼まれたのにそう聞き返してくるのはどうかと思ったが、気にせずスルーするように

「平均近く」

と答えた。

「俺さ、いまだに赤点ばかりなんだ。数学だけは。だからやばいんだよー」
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