この曇り空は私と似ていた
そういえば、一週間前に自分をダメだと思うなとかいずれ倒れるとか言われたんだった。

きっと数学を教えるのにいつの間にか真剣になってたから忘れてたんだと思う。

真剣……?

ただやらされているだけのものに真剣になれたことが今まであっただろうか。

いや、なかったはずだ。めんどくさがりな私のことだから。

つまりこうなったのは無意識?

それとも……。

どんな理由であれ、私の中ではあり得ないと言って当然のことだ。

「おーい、聞いてるか?」

美華吏の声で私は我に返る。

「聞いてるよ」

私は少しむきになったように言った。

「本当のことだかんな。この前言ったこと」

美華吏は私に忠告するようにそう言った。

そして教科書を鞄の中に片付け始める。

ごめんねと言っておいてそう忠告してくるのはどうかと思ったが、私はそれをスルーするようにこくりと頷いた。

そして図書室の戸締まりをし、美華吏と別れた。
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