この曇り空は私と似ていた
それから職員室に鍵を返しに行き、私は帰路についた。

今日の朝ではこの前不思議な言葉を言ってきたから当然のように気まずい状況だった。

けれど今はそんなの気にしてない。きっと少し仲が深まったからだろう。

私は秋の涼しい風に髪をなびかせながら家に帰った。


数日後。

相変わらず私はめんどくさがりな性格で母に怒られてばかり。

こういうときはいち早く変わろうとするのが合理的なんだろうけど、こんな私のことだからそれすらもめんどくさい。

本当、何から何まで逃げてばかりだ。

美華吏との勉強会はなぜかいつも真剣になれる。こんなこと今までなかったはずなのに。

美華吏は図形のことを大体わかってきてはいて、残すところ文章題だけとなっている。

最初は心配ばかりだったけれど、これなら期末テストがきても大丈夫であろう。

そんな中で起きたある出来事。

私はその日、移動教室をするために廊下を歩いていた。

するとこんな声が聞こえたのだ。

「あの子、最近むかつくよね」

「わかるわかる」

「やっちゃおうよ」

「えー、やめときなよって」

誰に対してむかついているのかはわからない。

けれど聞いていて居心地が悪くなり、私は逃げるように移動教室を済ませた。

少しだけ嫌な予感がした。
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