この曇り空は私と似ていた
だから私は今まで何も頑張ろうとはしなかった。もちろん努力もしたことない。テスト勉強だってやったこともない。だから仕方すらも知らない。

私は学校が大嫌いだ。そして何もない自分のことも。こんなに息苦しい場所が、ほかにあるのだろうか。本当はこんなところには来たくない。でもさぼれば友達に心配されるし、先生も親にもごちゃごちゃ言われそうだから仕方なく行ってる。

私はしばらくそのまま、頬杖をついて空を見ていた。すると、

「そこ!窓側の一番後ろのサボりマン!えーと名前……なんだっけ?」

浜崎先生に注意された。しかも目立つように。

浜崎先生は眉間にシワをよせて怒ったような顔をしながらクラスの名簿表を見ている。

実はこの先生、今年の秋からここに来始めたばかりだ。だから生徒の名前もあまり覚えてない。

おまけにいきなり、サボりマンと私のことを呼んでくるから教室にはどっと笑い声が広がる。

「糸湊清加(いとみなせいか)です」

私は心の中でため息をつきながら棒読みな口調で名乗った。

私は自分の名前も嫌いだ。あまりない名字に清らかに生きろって新しいものを色々加えろって母が勝手に私につけた名前。本当にくだらない。つまらない。

「名乗ってくれたのは助かった。でもサボりの罰として、今すぐ自分の長所をこの場で言いなさい」

浜崎先生はどうやら私の態度に激怒しているらしい。

そして私はというと、ついさっきからみんなからの視線を感じてしまい、頭の中がむしゃくしゃしている。
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