この曇り空は私と似ていた
第二章 突然
翌日。

私は靴箱の前でただ呆然と立ち尽くしていた。

私の上履きがどこかにいってしまったのだ。

置き忘れたような場所はあるかというと、もちろんない。

昨日は確かに靴箱の中に置いていた。

なのに……。

今はもぬけの殻だ。もはや存在すらもなくしたよう。

……誰かの仕業?

そう考えるのが合理的だろう。

私は昨日、耳に聞こえてきた悪口のような声を思い出す。

まさか……。

そう思った途端、心臓が凍ったような気がした。

そんなわけない……よね?

私はそう思いながら苦笑いをし、上履きを探すのもめんどくさいので職員室へ来客スリッパを借りに行った。

来客用スリッパのパタパタという音がただひたすら廊下に響く。

いつもでは起きないことだからやけに異様な感じがした。

それに徐々に教室へ向かう足も重くなってきたような気がする。

私はそれを振り払うようにスカートの裾を強く握りながら階段をかけ上がった。
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