この曇り空は私と似ていた
確かに私はいつも、ただやらされているだけだからと適当にやっていた。でも音楽と小説を読む時間だけは大切にしていた。

それをまさか美華吏から言われるとは思ってもみなかった。

「まぁ、そうだね」

「いつもさ、何かを隠して我慢してるみたいだからさ、なんかこういう清加見てると、新鮮って感じるんだよな」

美華吏はそう言って私に笑いかける。

私には訳がわからなかった。

そもそも私と出会ってまだ二週間ぐらいしか経ってないのに、ずっと前から一緒にいたように感じさせてくる。

やっぱり美華吏は不思議な人だ。そう思った。

いつも何かを隠して我慢してる。

確かにそうだ。私は何もかもダメな人でそんな自分が大嫌いだ。なら変わればいいのだけれど、めんどくさいし、自分に良いところなんて一欠片もないから、きっと何年かかってもできないのだろう。だから最初から諦めている。

「あっそ」

私はまた心を見透かされたことをスルーするように素っ気なく言葉を返した。

その時、五時間目の終わりを告げるチャイムが鳴った。
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