この曇り空は私と似ていた
いっそ
数日後。最近は相変わらず鞄や上履きや筆箱が盗まれるばかりだ。

美華吏に聞いてみればやはり佳奈達の仕業だったらしい。

捨てられている場所もころころと変わり、頭が混乱することもある。怯えることもある。けれど毎日、いじめられたままで全然いいって自分に言い聞かせて今も穏やかな心を保っている。

そんな中で迎えた期末テスト前日。涼しくなってきて一週間前から制服も衣替えした。

わめんどくさい提出物は既に終わらせている。美華吏との数学の勉強はというと、ちょっと心配なところだ。

今日も私は図書室に行く。すると当たり前のように美華吏がいた。相変わらず真面目に勉強できる姿が私には羨ましく見える。私だったらすぐめんどくさいって逃げてしまう人だから。

最初の三十分ぐらいは貸し出しカードを出しに来る人もいるので、本を読みながらその管理をし、二人きりになったら勉強会を始める。これがいつしかルーティーンになっていた。

「明日のテストは大丈夫?」

美華吏に数学を教えている途中、さりげなく聞いてみた。

美華吏が苦手としているところは図形と連立方程式などの難しい計算だ。

呑み込みも教え始めた時には遅すぎる方だったけれど、今では少し遅いになっている。でもまだ心配だ。受験もあと四ヶ月ぐらいであっという間に来てしまうから、せめて半分は点数をとって欲しいところだ。

「提出物、終わってねぇ」
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