この曇り空は私と似ていた
幸いなことに先生はいなくて内心安心した。

その時、ある考えが思い付く。

そうだ。自分を投げ捨てればいいんだ。この人生に終わりを告げてしまえばいいんだ。ならもう大嫌いな自分ともさよならできるし、美華吏も私を心配しなくなる。

七生と陽果のことは正直どうでもよかった。もう仲間外しにされてばかりだから友達と言えないのも当然だし、二人にも迷惑はかけたくない。

私はこの人生をうんざりするほど充分に生きた。だからもう、終わりにしよう。

そう思いたった時にはもう、足が屋上へと向かっていた。

息を切らしながらも必死に階段をかけあがる。

どうして今までこんなこと、思い付かなかったのだろうか。

私の頭の中にそんな疑問が生まれる。

即座に理由を見つけようとするけど、思うようにはいかない。

そんなことを考えているとついに屋上についた。

私は立ち入り禁止の貼り紙がある赤コーンをまたもや無視して屋上に出る。

朝に降っていた雨は止んでいて、どんよりとした曇り空が広がっている。

放課後の校舎はいやに静かだ。

聞こえてくるのは陸上部の掛け声とテニス部や野球部のボールを打つ音。そして吹奏楽部の金管の響きだけ。

その静かさは私の心を徐々に安らげてくれる。
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