この曇り空は私と似ていた
「ありがとう。私と宇高君、正反対だと思ってたんだけど、違ったんだね」

私は微笑みながらそう言った。

私と美華吏の長所は優しすぎる。

美華吏は誰にでも優しく接することができて、その心は誰よりも繊細で強すぎる。

私はめんどくさがりでダメな人間だけど隠れたところには優しい心がある。

そんなものを犠牲にしようとしていたなんて最悪だ。

「清加?お前……泣いてるぞ。大丈夫か?」

美華吏はそう言ってティッシュを差し出してくる。

それに気づいた時には、自分でも意味がわからなかった。

涙は私の瞳から容赦なく溢れだしていて、頬をつたっていく。

涙を流すのはいつぶりだろうか。なぜかは知らないけど小四以来のような気がする。

私は美華吏が差し出してくれたティッシュを受け取り、涙を拭った。それでも涙は容赦なく溢れを止めないから、落ち着くには時間がかかるだろう。

美華吏は私の背中をさすってくれる。その手は太陽のように温かくて私の心は瞬く間に明るくなっていく。

こんな美華吏と私が似ていたなんていまだに信じられないと思ってしまう。

いや、待てよ。

私はあることを考え出す。

私と美華吏が似ているのなら、大嫌いな私のことをわかってくれるのかもしれない。
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