この曇り空は私と似ていた
母は私の言葉を聞いて、優しい笑みを浮かべた。

「辛くなったらいつでも言ってね。自殺なんてごめんよ」

そうだ。自殺しようとしていた私がバカだった。

私には怒られてばかりだけど私を育ててくれている母がいた。

こんな私にも優しくしてくれた、美華吏がいた。

大切な人を思ってそんなこと考えなければよかった。だけど長所を知れた。

幼なじみ以外の人とたくさん話ができた。

それだけで今は、この上なく幸せだ。

私はそれから食欲が増してきて、からあげを十個以上頬張ってしまった。

「清加。学校遅れるよ。それとも今日は休む?」

母にそう言われて私はふと時計を見る。それから大慌てで身支度をし、外に出た。

すると、

「おはよ、清加」

そう笑みを浮かべながら言った美華吏がいた。

鞄を肩にかけ、傘を手に持っていた。

私は思わぬことに目を丸くする。

けれどすぐに理解した。昨日は屋上で話した後、一緒に家まで帰ったのだ。

「おはよー宇高君」
< 64 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop