この曇り空は私と似ていた
それにしても美華吏の手は、カイロのように温かい。そして誰かと手を繋いだのは初めてのはずなのに、不思議と懐かしさを感じる。

「清加さ、あんまり自己嫌悪になるなよ。いいところあるんだから無駄にしないほうがいいぜ」

美華吏はそういつもの穏やかな口調で言った。

とはいえ、私は元からめんどくさがりだし何をやってもダメなのだから、そんなこと言われても無理だと思ってしまう。

私は結局、どうしたらいいのだろうか。

長所が見つかれば夢も見つかると思っていたのだが、なかなかうまくいかない。

私は美華吏に聞こえないように、心の中でため息をついた。

それからいろいろな話をして、あっという間に学校へ着いた。

どうせ靴箱は空っぽなんだろうな。

そう思いながら靴箱を見れば、私は目を丸くした。

いつも佳奈達に盗まれているはずの上履きが、今日は盗まれていなかったのだ。

どうして……?

幸いのことのはずなのに、動揺が隠せない。

「ほら、大丈夫って言ったろ?」

そう言って美華吏は手を握り返してくる。

ドクドクという鼓動が耳にまで聞こえてきた。
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