この曇り空は私と似ていた
教室にもおらず、どうやら友達とどこかへ行ったようだ。

「昼休み、体育館倉庫へ来てくれない?私達、そこで待ってるから」

佳奈は上から目線な目つきをしてそう言った。それから私を一瞬睨みつけて離れていく。

私は硬直した。思いもよらぬ事態になって思考が停止してしまったのだ。

何をされるんだろう。

そもそも佳奈達はどうして私の物を盗むのだろう。

恨まれるようなことをしてしまったのかな……。

いや、してないはず。私は今、美華吏としか関わっていないのだから。

授業開始のチャイムが鳴る。先生が入ってきたのを確認してから黙殺するように私は読書を始めた。

しかし、どうしたことだろうか。さっき佳奈にあんなことを言われてしまったからなのか、ものすごく寒気を感じて内容が頭に入ってこない。

私はため息をつきながら本を閉じ、空をただ眺めた。


昼休み。私は震えている足を無理矢理動かして体育館倉庫へ向かった。

どうか、良からぬことが起きませんように。

そう雨があがったばかりの曇り空に祈りながら中へ入る。

「来たわね」

佳奈がそう言って私のところに近づいてきた。
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