この曇り空は私と似ていた
そのせいなのか、クラスではどこか特別扱いされていてみんなから一目置かれている。

そんな美華吏を見かける度、私はこう思う。

彼は優しすぎる人だって。

真面目だし、よく気が利くし、みんなに優しい。一体どこでそんな心を手に入れたんだかが問いただしたくなるくらい。

それと同時に、情けないくらいに何もない私とは正反対だって。

私と美華吏を天秤のように比べてみてもきっと釣り合うなんてことは一切ないのだろうな。

教室に戻れば、当たり前のように互いの机を合わせてわいわいと昼食を食べている人達がたくさんいた。

私は自分の席につき、鞄の中から昼食を取り出す。

「おかえり。清加」

ポニーテールで赤淵メガネをかけた小柄な坂道七生(さかみちなない)は穏やかな口調でそう言いながら私の前の席に座る。

「相変わらずだね。清加」

ロングで童顔な希里陽果(きりはるか)は笑いながらそう言って私の隣の席に座る。

この二人は私の小学校の頃からの幼なじみ。七生は真面目でいつもテストでは百点が当たり前だ。一方、陽果は天然。そのおかげなのかクラスではちょっとした人気者だ。

「サボりマンなんてよく呼ぶね。浜崎先生」

陽果はまた笑いながら言った。
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