この曇り空は私と似ていた
「もう、当たり前のことをしたまでよ」

七生は照れたようにそう言った。

「これからもよろしくね」

陽果はそう言って、握手とでも言うように、手を差し出してくれた。

私はこくりと頷いてからその手を取った。

その上に自然と七生の手が置かれる。

それから微笑を浮かべて同時に手を離した。


「ねぇ、清加。昨日の話で伝え忘れていたことがあるの」

その日の夕食後。母が唐突に言ってきた。

昨日の話……。きっと私が今までめんどくさいで何事からも逃げてきたことだろう。

「めんどくさいって言ってたら、いつまで経ってもできないわよ。めんどくさがらずにやれば、きっと何でもできるようになるから。今の清加、もったいないよ」

母は真剣な顔でそう言った。

めんどくさがらずにやれば何でもできるようになる?

そんなわけない。私は元から何をやってもダメな人なのだから。

確かに今の自分は、未来への可能性を自分で打ち消してばかりいるから、もったいないと言われても過言ではない。

いつまでもこのままではダメだとはわかってはいる。

だけど……。

「そんな保証がどこにあるのか、わからないって顔してるね」

そう言って母は私の頬を人差し指でつつく。
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