この曇り空は私と似ていた
私は何も文句を言わず、許可した。

私の答えがあってるかどうかは知らない。けれど、忘れ物になるよりかはましだろう。

「ありがとね。本当、いつも助かる!」

陽果は興奮したような口調でそう言った。

このように私は、小一の頃から何も文句言わずに、プリントやノートを陽果やクラスの子に貸していた。おかげであっという間にクラスの人気者になり、今も幸せな生活を送っている。

「いつまでも忘れ物してないで、ちゃんとやってよ。あと、清加も答え見せてたら陽果のためにならないじゃん」

七生はかけている赤淵メガネを指でくいっと押しながらそう言った。

確かに答えをいつまでも見せてたら、勉強にもならないし、テストでも役に立たない。メリットは忘れ物にならなくて済む。ただそれだけだ。

私は「だよね」と言いながら、苦笑いをした。

学校に入れば、桜の大木が並立している道がすぐにある。桜の花びらはすでに散りきっていて、誰もが桜の大木であったことを忘れたかのように、葉っぱばかりになっていた。

「おはよー清加ちゃん」

「よっす!清加」

教室に入ればそんな声が聞こえてきた。私は反射的に挨拶を返す。そして自分の席に着いた。
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