この曇り空は私と似ていた
黒板にはいつも通り担任からの挨拶の言葉が白いチョークで書かれていて、その字はパソコンで打ち込んだ字のようにとてもきれいだ。幼い頃に習字を習っていた影響があるんだそう。

その挨拶の終わりにはいつもこう書かれている。

『糸湊さん、今日もクラスのみんなをよろしくね』

私はその字を見て微笑む。まるで私の方が先生なのかと、思ってしまうほどだ。

小二の頃から学級委員をやっていて、頼りがいがあったからか、いつしかこうなっていた。

「清加ちゃん、ちょっと聞いてよー。この前うちのクラスの……」

そう言ってあるクラスメイトが愚痴を話してくる。

私は相づちをうちながら話を聞く。

「それはさんざんだったね」

そのクラスメイトが話終えるのと同時に私はそう言った。

このように愚痴を聞くことも、毎日のようにある。別に嫌とかめんどくさいとかは思わない。

人間はいろいろ溜め込むといつかは壊れるって、わかっているからしているだけだ。

授業の始まりを告げるチャイムが先生の登場と共に鳴る。

私は席に着き、国語の教科書の適当なページを開いて机の上に置く。それから「起立」とみんなに号令をかけた。

これは学級委員の仕事の一つだ。他にも出席簿の管理や授業が終わったら黒板を消す、あとは放課後は戸締まりをしっかり行い、鍵を閉め職員室にそれを返す。それぐらいだ。

最初は忘れることもあったけれど、今じゃ日々のルーティーンになっている。
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