この曇り空は私と似ていた
まさか……。

「数学の先生、目指してみない?今からでも遅くはない。きっとあなたならなれるはずよ。だってこの前のテストでも数学が一番点数が高かったじゃない?」

母は目をキラキラさせてそう言った。

確かに私はまだ進路が決まっていない。数ヶ月前から散ることができなかった、枯葉のように置いてかれていて、正直に焦ってはいた。

数学は小四の時にクラスのみんなに教えていた。数ヶ月前では美華吏に教えていた。評判がいいか悪いか、そんなのは知らないけれどやってみる価値はある。

「うん!私、やってみる」

「じゃあさっそく明日の放課後、先生に話しておくわ。勉強、頑張りなさいね。志望校もちゃんと決めておくのよ」

私はそれに元気よく返事をしてから二階へ行った。吹っ切れたように軽くなった足で、自分の部屋へと向かい、机に向かう。そして教科書を置いてある棚の中から高校のパンフレットをいくつか取り出した。

私が住んでいる市には高校が四つある。それぞれのパンフレットをくまなく見て、一番夢を叶えやすそうな高校を選ぶ。

それはこの市で二番目に偏差値が高い、コスモス高校だった。普通科と理数科と商業科の三つがあり、どこも魅力的だ。入学するならもちろん、理数科にするだろう。私の成績的にも充分に受かりそうなところだ。
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