この曇り空は私と似ていた
私には長所もないし、やりたいことすらもない。だからもちろん、夢もない。ということで私はいまだに進路が決まってないのである。

みんなが次々に進路を決めていく中、私はまだ決まらなくてまるで散ることができなかった枯れ葉のように置いていかれているのだ。

正直、焦ってはいる。いい加減決めなくちゃって。

私はそう思いながらため息をついた。

放課後は陽果と七生とで行きたい高校の話をしながら帰路を歩いた。すでに二人は進路が決まっていて、私の焦りも増す。

正直、高校なんて行く意味はないと思う。自身の未来の役に立つなんて到底思えないし。でも、行った方が就職の時に少しは楽になるって母は言ってた。だからいい加減決めなきゃいけない。わかってる。わかってるけれど。

私はまたひとつため息をついた。

家に帰ってみれば母がキッチンで夕食の里芋コロッケを作っていた。

「ただいま」

私はそう言いながらダイニングテーブルの上に進路希望調査表を静かに置く。

「おかえり、清加」

母は里芋コロッケを油で揚げながら言った。
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