この曇り空は私と似ていた
「うん!数学の先生」

私は反射的にそう答えた。

できれば、クラスの担任とかもやってみたいな。猫の手も借りたいくらい忙しいだろうけど。

「だよねー。そう言うと思った」

七生は安心したような笑みを浮かべる。

私はふいに思う。前に二人が行く高校は聞いたけど、夢は聞いていない。

七生は真面目だから、私と一緒で先生を目指しそう。その一方で、陽果は天然だから、目指す夢も想像ができないな。

「二人の夢は何?」

「私は国語の先生」

七生は躊躇いもなく、そう言った。

確かに七生は国語のテストで、毎回のように満点をとっている。ならば国語の先生になる夢が、未来で叶っていたとしても、おかしくはない。

「私はまだ決まってないや」

陽果は夢がある私達を、羨ましがるように言った。

夢は人それぞれだ。それに私達はまだ十五才。見つけれていなくてもおかしくはない。

「ゆっくりでいいんじゃないかな。まだ時間はあるし」

「ま、あっという間だけどね」
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