この曇り空は私と似ていた
七生は苦笑いをしながら言った。

当たり前のようにこの中学校生活も、いよいよ大詰めを迎えようとしている。今更進路を決めた私は、焦らなければいけない存在だ。

「そういえば美華吏とはどうなのよ」

ふいに思い出したように、陽果は言う。

「ど、どうなのって……」

いきなりのことに戸惑いを隠せない。

「昨日も一緒に登校してたよね?なんかあったの?」

「聞かせて聞かせて」

二人は目をキラキラさせて、食い入るように聞いてきた。

もしかしてこれって……恋バナというやつ?

もちろん私は恋愛未経験者だから自分から話すことはなかった。七生や陽果の恋バナは聞いたことある。めんどくさがりだったから、恋愛とか興味なくて、棒読みに答えてたけれど。

ついさっき美華吏という名前を聞いただけで、胸が締め付けられるような感覚がした。ということは私は美華吏に恋をしているのではないか。

いや、そんなわけない。元々恋心なんてどんなのか知らないし、受験生なんだからそんな余裕あるわけない。

それはさておき、自殺しようとしていたら助けられたというのを話す気にはなれない。

避けられたって幼なじみというのには変わりないから気が重い。
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