HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「実はな…瑞希」

「んっ?」

隼也さんが私に何かを言いかけた瞬間、首にぶら下げていたPHSが鳴り響いた。

「もしもし・・・高木だ…分かった…直ぐに向かう」

「急患ですか?」

「お前も来るか?瑞希」

やっぱり、救命救急は悠長に休んでいる時間はない模様。
「で、でも・・・」

彼は私の手を引っ張った。

彼に触れられ、心臓の鼓動がドクンと大きな音を立てて跳ね上がる。

私の気は彼に向いていても、彼の気は搬送されて来た患者さんに向いていた。

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