HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
私は皆に断りを入れて、一階の待合ロビーに下りた。
診療時間外のロビーは閑散していた。
「お兄ちゃん?」
ダークブラウンのスーツに細い銀のメタルフレームの眼鏡を掛け、父に似た長身で、黒い切れ長の瞳に端正な顔立ちの兄・一ノ瀬瑠生(イチノセルオ)がソファに腰を下ろして、膝の上にタブレットを置き、仕事をしながら私が来るのを待って居た。
「瑞希…」
お兄ちゃんは、タブレットをブリーフケースに戻して、立ち上がった。
「元気でしたか?瑞希」
「うん、お兄ちゃんは?」
「私は元気でしたよ。この度、北京支社での支社長の役を終え、日本に帰国しました。看護師の仕事は忙しいですか?瑞希」
お兄ちゃんは優しい口調で問いかけ、私の変化を確かめるように目つきで隈なく全身を見つめた。
兄と言っても男性。
ジッと男性に見つめられると自然と鼓動が高まる。
「私も看護師として日々精進して、頑張っています」
「それはいい心がけです」
お兄ちゃんの丁寧な口調が伝染し、兄と妹なのに言葉遣いが敬語になっていた。
「それよりも瑞希、時間はありますか?」
「まぁ、三十分ぐらいなら…」
「じゃカフェで少しお話をしましょう」
「はい」
診療時間外のロビーは閑散していた。
「お兄ちゃん?」
ダークブラウンのスーツに細い銀のメタルフレームの眼鏡を掛け、父に似た長身で、黒い切れ長の瞳に端正な顔立ちの兄・一ノ瀬瑠生(イチノセルオ)がソファに腰を下ろして、膝の上にタブレットを置き、仕事をしながら私が来るのを待って居た。
「瑞希…」
お兄ちゃんは、タブレットをブリーフケースに戻して、立ち上がった。
「元気でしたか?瑞希」
「うん、お兄ちゃんは?」
「私は元気でしたよ。この度、北京支社での支社長の役を終え、日本に帰国しました。看護師の仕事は忙しいですか?瑞希」
お兄ちゃんは優しい口調で問いかけ、私の変化を確かめるように目つきで隈なく全身を見つめた。
兄と言っても男性。
ジッと男性に見つめられると自然と鼓動が高まる。
「私も看護師として日々精進して、頑張っています」
「それはいい心がけです」
お兄ちゃんの丁寧な口調が伝染し、兄と妹なのに言葉遣いが敬語になっていた。
「それよりも瑞希、時間はありますか?」
「まぁ、三十分ぐらいなら…」
「じゃカフェで少しお話をしましょう」
「はい」