HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

「それは表向きだけの話です。瑞希貴方は、この男に騙されているんです」

「お兄ちゃん!?」

「今日の所は退散します。後日改めて、伺います。失礼」
お兄ちゃんは、コーヒーを飲み干して私達に火種だけを残して帰ってしまった。


「お兄ちゃんも酷いわね。お姉ちゃんのコトをあんなに愛した隼也さんに対して…」

隼也さんは唇を引き結び、黙り込んでいた。
「隼也さん？」

「瑞希…お前に話がある。ちょっと来てくれ」

「でも・・・私…まだ・・・コーヒー飲みかけで」

「俺がコーヒー奢ってやるから…来いよ」

「でも・・・」

「お前だって瑠生さんの言葉気になってんだろ？」

「そうだけど」

お兄ちゃんは私の知らない隼也さんとお姉ちゃんのコトを知っていた。
私もどうしてお兄ちゃんがあんなコトを言ったのか?気になった。

真相を知りたいけど、その真相を知れば、また…隼也さんと私の距離が遠ざかりそうで怖かった。