HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

「静脈と動脈、間違えたら、お仕置きしてやろうかと思ったが…間違えなかったな…大丈夫だったな…瑞希」

私は日勤を終え、休憩室で束の間の休息を取る彼と落ち合った。
「私…そんな初歩的なミスはしません…」

「研修医でもパニくっていたら、間違えるヤツは居るぞ」

「・・・それよりも病院では…名前呼ぶの…止めて下さい…高木先生」

「仲が宜しいようで…」

心臓血管外科の相馬柚希(ｿｳﾏﾕｽﾞｷ)先生が入って来た。

「・・・相馬先生貴方のせいで…俺は…」

「泥酔した一ノ瀬さんを持ち帰ったのは事実でしょ？大切な『一ノ瀬コーポレーション』の令嬢と一夜の共にするなんてね…」

「相馬先生!!?どうしてそれを…」

「俺も彼と一緒に居たから…唯、俺は既婚者で…君を持ち帰るのは無理だったから…独身者の高木先生に一任したんです…そうしたら…」

「おかげで…父さんと瑞希の父親の一ノ瀬社長の耳にも入ってんだぞ…相馬先生…貴方は誰に話しんですか？？」

「妻の眞彩に…眞彩は実家の母に話したようで…その話を盗み訊きした桐生捺会長が…一ノ瀬社長に…多分、一ノ瀬社長が高木院長に話したんだと思います…」

「・・・相馬先生のせいで…事態の収束図るには…責任を取るしかないようだ…」

「えっ?責任って…」

「それはつまり…一ノ瀬さんは高木先生と結婚すると言うコトか…高木先生もいい年だし…いいんじゃない…」

「あのなぁー…」

隼也さんは頭を抱えてしまった。