HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

瑞希が丁度病棟の子供たちを集めて、紙芝居を読み聞かせていた。

普通なら、外で思いっきり走り周って友達と遊びたい盛りの子供たち。

怪我や病に臥して、病室に閉じ込められていた。
そんな子供たちに瑞希は紙芝居を読んで、楽しい時間を与える。

紙芝居の話はポピュラーな「赤ずきん」

瑞希は出入り口に立つ俺の姿を一瞥して、紙芝居を読み続けていたが、突然俺の方に目を向けて、叫んだ。

「噂をすれば…我が病院のオオカミさんが…皆を食べに来たわよ！！」

「誰がオオカミだ?瑞希」

子供たちは一斉に振り返って、俺の顔を見て「オオカミだ！！！」と騒ぎ始める。

騒がれた俺は渋面でオオカミを演じた。

「全く…悪い子はこのオオカミが食べちゃうぞ！！！」

子供たちは騒ぎながら室内を逃げ惑う。

「逃げちゃダメ!!皆で…オオカミさんをやっつけないと」

瑞希は子供たちを誘導し、逆に俺を追い回してボコボコにし始めた。

「お前ら本気で叩いてるな…痛いぞ！！」
中には俺の脛にキックする子供の姿も。

「分かった…やられた。降参だ…」

俺は子供たちにボコボコにされ、白旗を上げた。