HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「この子達が…仙波さんの…」

「匠と咲です」

「ちょっと事情があって…急遽、三人を泊めるコトになったんだけどいい?隼也さん」

「え、あ…」

五人でダイニングテーブルを囲んで賑やかな夕食となった。

「この肉団子のスープ美味いけど…瑞希が作ったのか?」

「いいえ…智咲先輩です…実は今夜の夕食になるはずの…ハンバーグ焦がしてしまって…智咲先輩のアイデアで残りのハンバーグの種を団子にして、野菜と煮込みました」

「へぇー…美味いよ」

「ママのりょうりはおいしいのよ・・・」

「咲ってば・・・」

「おいちぃ」
匠君も美味しそうにスープをスプーンで掬い、飲んでいた。

「匠…にんじんのこってるわよ・・・」

智咲先輩は自分の食事をそっちのけで、二人の子供の世話を焼いていた。

「智咲先輩…立派にママしてますね…」

「そう?」

「・・・まだ、諦めていなかったんだな…佐藤のヤツ」

「隼也さんはストーカー男のコト知ってるの?」

「まぁな…東亜で一緒に仕事をしていた時、初めて…ヤツが救命に搬送され、仙波さんが彼の担当になって…その時に仙波さんにひと目惚れしたのかそれからだったな…つき纏う様になったのは…」

「ともかく・・・アイツは仙波さんに会いたいが為に自殺未遂を何度も起こして…救急車を呼んでさ…その度に仙波さんを俺の担当看護師しろっと命令して、迷惑な患者だった」

「本当に高木部長には迷惑掛けた思います…あの時は申し訳ありません…」

「いいんだよ…それより…これからどうするの?」

「暫くは此処に居ればいいわよ…智咲先輩」

「でも・・・お二人は新婚さんで甘い蜜月を過ごしたいでしょ?」

「・・・別にいいわよ…ねぇー隼也さん」

「え、あ…」

隼也さんの顔は少し引き攣っていた。

隣のお兄ちゃんに邪魔され、今度は智咲先輩親子に…
私も甘い蜜月を過ごしたいけど、智咲先輩親子を何とかしてあげたかった。
< 150 / 262 >

この作品をシェア

pagetop