HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「隼也、院長室に案内して頂戴」

「いいけど…」

俺は静佳叔母さんを院長室に案内した。

「高木部長…本日、院長は医師会の会合で竹川さんも外出しております」
「そっか…伊集院さん一人か…」

「貴方が伊集院元総理のご子息の紡さんの奥さん…」

「はい…伊集院陽依と申します」

静佳叔母さんは陽依さんの全身を隈なく見つめる。

「紹介する…叔母で副院長の静佳さんだ…」

「そうですか…帰国は明後日と院長から訊きましたが…」

「予定が早まったのよ…」

静佳叔母さんは応接ソファに腰を下ろした。
俺も陽依さんと二人っきりにはしておけず、ソファに腰を下ろす。

「陽依さん…何突っ立てるの?早くコーヒー淹れて頂戴」
さながら、嫁をいびる姑のよう。
「申し訳御座いません…気が付かなくて…」
でも、陽依さんは非を詫び、頭を下げた。
「謝る時間があるんなら、さっさと準備して!!」
「はい…承知しました。高木部長もコーヒーで宜しいですか?」
「あ、はい…お願いします」


彼女は給湯室の中に消えた。

「紡さんも見た目だけの女を選んだ様ね…」

「・・・静佳叔母さん…陽依さんは東大卒の才女で、横浜では名家の氷室家の令嬢だぞ。知らないのか?」

「知らないわよ…興味がないから…でも、伊集院家が我が病院の乗っ取りを企んでいるんなら、いびり倒して、追い出さないと」

「あのなぁー…」

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