HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「失礼します」

ノックして久世さんが入って来た。

「社長、使わない荷物はこれですか?」

「えぇ」

久世さんはソファ椅子に置いていたボストンバックを手に取った。

「まさか…久世さんが…瑠生さんの秘書を務めてるなんて…驚いたよ」

「お二人とも無事にご結婚されて…幸せそうですね」


「久世、私は毎晩、神様にこの二人が離婚するよう祈っているんです」

「瑠生さん貴方は妹を不幸にしたいんですか?」

「隼也さんは冗談も通じないですね…瑞希が離婚すると言うコトは…戸籍に傷がつくワケですから…私はそんなコト本気でしませんよ…」

「今度、入院する時は他の病院に入院して下さいね…」

「それは出来ません…此処には仙波さんが居ますから…」

「社長と高木部長…互いにけん制してるけど…あれは楽しんでるね」

二人の間で右往左往している私に久世さんは耳打ちした。

「そう見える?」

「うん…それよりも結構…仙波さんにつき纏ってる男、ヤバそうだよ」

「えっ?」

「…だから、君も気を付けて…」

「あ、ありがとう…」

「じゃ俺はこれで…」

久世さんは私にそう忠告して出て行った。
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