HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

「いつの間に？」

「でも・・・父さんに言われたんです…『血の繋がりのない子供たちの本当の父親になれるのか？』と」


「・・・私はそう言われ…口を噤んでしまいました。自分と血の繋がりの無い子を育てるのは容易なコトではないと父の言葉で悟りました」

「お兄ちゃん・・・！？」

「智咲さんも…父さんの言葉を訊いて…多分…私の入院している間に出て行くつもりだと思います」

「えっ！？そうなの？」

「失礼します」

智咲先輩が病室に入って来た。
「智咲先輩…お兄ちゃんの部屋出て行くって本当なの？」

「え、あ…いつまでも…瑠生さんのお世話にはなれないわ…」

「だってあんなに・・・咲ちゃんと匠君は…お兄ちゃんのコト…本当のパパのように・・・」

「二人とも慕っているけど…一ノ瀬会長の言う通り…結婚ともなれば…話は別よ…私が子連れでなければ…上手くいっていたと思うわ」

「智咲先輩…」

「それよりもバイタルチェックしますね‥瑠生さん」

「はい」

私は二人に気を利かせ、病室を出た。