HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
救命の主要メンバーが一人居ないなぁと思えば、仙波さんが居なかったんだ。

「いいから早く出せっ!!てめぇ」

俺の目の前で佐藤は包丁を振りかざし、脅した。
周囲は騒然とし、一気に緊迫していく。
今は一分一秒でも急がないと怪我人たちの命が危ない。
「手は休めるな!!この男は俺が相手する!!」
俺は佐藤の怒声に怯え、手を休める看護師たちを注意した。

長髪に眼鏡の小太りの体格、年齢は俺と同い年の佐藤。

この事故に準じて侵入して来たようだな。

「おいっ!!てめぇ…仙波さんをどこに隠した!!?」

佐藤は俺の頬に包丁の刃先を押し当てる。
俺の頬を掠り、血が出た。

此処では怯んでは、彼の思う壺。

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