HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

「院長…ただ・・・」

何も知らない仙波さんが処置室に入って来た。

「貴方…」

「智咲…見つけた…一体どういうコトだ?俺に黙って…他のオトコと一緒に住むなんて…」
仙波さんの声で後ろを振り返った佐藤。
そして、彼女の方に近づいていく。
「貴方…何しに・・・！？」

「君を殺しに来たんだ…君を殺して…俺も死ぬっ！！！」

「お前のキモチが分かった…でも、此処は救命救急だ…人の命を助ける場所だ…仙波さんと話がしたいなら…場所を提供する」

俺も彼を追い駆け、説得に当たった。

「うるさい!!!黙れっ!!俺に指図をするな…俺は智咲と話をしてる…耳障りだ！！」

ヤツは振り返り、俺に向かって包丁を振り回した。

俺は咄嗟に彼に向かって、近くにあったモニター装置を佐藤に向かって蹴りつけた。
ヤツはその場に倒れ込んだ。その隙に怯えて足を竦ませる仙波さんの腕を掴んで、処置室の奥へと逃げ込んだ。

「くそっ！！待てっ！！」