HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

ドアを開けると佐藤は右脚の太腿を撃たれ、その場にしゃがみ込んでいた。
佐藤の近くには腕を切られた瑠生さんの姿も見える。

「瑠生さん…」
「私は大丈夫ですよ。智咲さん。貴方こそ、大丈夫ですか？」

「私は大丈夫です・・・」

負傷した瑠生さんに仙波さんが歩み寄った。
「院長、大丈夫ですか？」
紡さんが心配そうに俺を見つめる。

「紡さん…二人を頼みます。俺は彼を診ます」
紡さんに瑠生さんと仙波さんを任せ、俺は足に銃弾を受けた佐藤の様子を伺った。

瑠生さんと一緒に居た制服警官の発砲ではなく、後ろに控えていた私服警官の発砲のようだ。

「・・・クッ…どうせ…俺のコトなんて…」
撃たれた佐藤は呻きながら呟く。

「見殺しにはしないぞ。俺は人の命を救う医者だ…佐藤…」

俺はストレッチャーで佐藤を直ぐに手術室へと運び込んだ。