HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

手術は成功したけど。
ストーカー男は糖尿病患者で、手術する際は前持って、血糖値をコントロールする必要があった。そうでないと、高血糖により、血液障害や白血球の機能低下などが見られ、免疫力が下がり、術後の感染症や傷口が化膿するリスクが高くなる。

でも、今回は緊急手術。そうは言ってられず、術後の経過観察に細心の注意を払うコトになった。

私は紡さんと一緒に隼也さん達を手術室の前で待つ。

「かなりの時間がかかったが…手術は無事に終わったな。瑞希さん」

「あ、はい…」

相手は伊集院元総理のご子息。
彼と話す度に緊張した。

「紡さんも色々とありがとう御座いました」

隼也さんがオペ中、彼が警察に対応、院内の平静を保つ為、色々と根回しをしてくれた。

「俺は院長秘書の仕事しただけだ」
隼也さんが青のスクラブ姿で、相馬先生と一緒に出て来た。

「瑞希…」

長時間のオペに関わらず、疲れた顔を微塵も見せなかった。

「院長、柚希…お疲れ様」

「紡さんもお疲れ様です」

「隼也さん…」

「瑞希、瑠生さんの様子は？」

「あ…智咲先輩が付き添っています」

「そっか」

「院長…オペのお疲れのところ、申し訳ないが…警察は事情聴取したいと言っている…」

「分かりました。悪いな。瑞希…お前は先に帰っていいぞ」

「分かった…頑張ってね」