HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「!!?」
突然、隼也さんが紡さんの前で私をギュッと抱き締めた。

「キスする時間ぐらいはあるぞ…院長」

「あ…そっか」

「俺は先に院長室に行ってる…」

紡さんは私達を気遣い、先に院長室に行ってしまった。

「じゃ俺も…二人に気を遣わないと」

相馬先生まで、慌てて退散した。

「相馬先生…彼の経過観察…頼みますよ」

「はいはい、わかってます。院長」

相馬先生は歩きながら手を振り、返した。

オペ看達も退散。

「皆に気を遣わせてしまった…これは本当にキスしないと…皆に悪いな…」


隼也さんは二人だけになった廊下で、私の唇に軽くキスを落とした。
そして、間近で私を愛しそうに見つめる。
「・・・俺も佐藤にマジで殺されるかと思い、死を覚悟したぞ」

「隼也さん…」

でも、彼は自分を殺そうとした相手の命を救う為に、メスを振るった。

「自分を殺そうとした相手の命助けたのよね…」

「そうだな…人の命を救うのは医者の務めだからな」

もう一度、唇にキスを落とした。二度目のキスは息の継ぎ間も許されない深い濃密なキスだった。

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