HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
お姉ちゃんの告別式の日。
隼也さんは涙を流し、全身で愛するお姉ちゃんの死を悼んでいた。

私は慰めようと泣いている隼也さんに近づく。

「私がお姉ちゃんの代わりになるから…泣かないで…隼也さん」

涙で潤んだ瞳で私を見つめ返し、こう言った。

「何言ってんだ?瑞希ちゃん。君は彩芽にはなれないよ。瑞希ちゃんは瑞希ちゃんだ」

私は本気でお姉ちゃんの代わりになろうとしたのに。
大人の彼には届かず。

一夜を共にした麻由香さんの想いも届かなった。

それだけ、隼也さんの中でのお姉ちゃんの存在は大きかった。


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