HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
俺は頸部の傷口の圧迫止血を施す、その隙に和樹さんが気管挿管準備に入った。

和樹さんが気管挿管しながら胸骨圧迫。アドレナリン1mgを投与したが。
心肺停止五分が過ぎても、自己心拍の再開はなかった。

ありとあらゆる手を尽くしても、傷口は頸動脈を切断するほどの深い傷。
血は止まらなかった。

「くそっ・・・」

和樹さんの焦りの声。

「無理だ…和樹さん・・・」

「隼也の言う通り無理だ…和樹」

父さんが俺達の手を止めた。

救える命もあれば、救えない命もある。
その度に俺達医者は…苦悩する。

―――自分のあの時の判断が正しかったのか?どうか…


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