HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
「…スクーリング検査を早急に受けた方がいい。
週数の割には胎児の発育が遅いし、心臓の拍動に少し異常がみられるよ。院長」
瑞希が診察室を出た途端、急に真顔になった。
俺と瑞希の子には何か重大な病か障害が隠されていそうだった。
「槇村…」

「俺の話はそれだけ…院長室行くまでもなかったね」

「ありがとう…」

ヤツは腰を上げて、背筋を両手を高く上げて、背筋を伸ばした。

「辻教授から疎まれているらしいじゃないか…」
東亜の産科医局を束ねる辻教授。
俺が東亜で勤務していた時から槇村に対しての風当たりはキツかった。

東亜の産科医の中でも若いながら、人気があり、腕もいい槇村。
でも、医局内での立ち位置は微妙だった。
そもそも、ヤツは医局の中でトップに立とうとは言う野心は持っていない。
多くの産まれて来る命を取り上げ、救う産科医の仕事にしか槇村は興味がなかった。
ヤツは俺と似たタイプの医者だった。

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