HONEYBEE(1)～アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚～

「妊娠経過にも少しずつだが影響を出ているそうだな。隼也」

「はい…」

「このまま…放っておいたら、胎児水腫によって…胎内で死亡する確率が高くなる」

「俺と瑞希の子が生まれる前に死んでしまうのか？」

「そうならない為に、俺も数例しか行ったコトの無い手術だが…二心室の循環を目的する胎児手術を行う。そして、生後まもなくフォンタン手術に踏み切る。これが俺の考えたが…実際、その手術をする場合に課せられた条件は厳しい。
母子と共に…命の危険に晒される可能性が高いからな…今なら、まだ・・・中絶する選択肢もあるぞ。隼也」
初孫の誕生を心待ちにしていた父。
その孫の命を摘む選択を突きつけた。
その目には薄っすらと涙が見える。
医師も人の子。
ロボットではない。
感情に左右される。


「父さん！？」

「二人でよく話をして、決めてくれ」

「今回は無理でも…二人で生きていれば…また子に恵まれるチャンスはある…」

胎児手術の危険性は俺も十分認識していた。