HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
治療当日。
父と母、お兄ちゃんまで私の元に来た。

「瑞希…」

お母さんは涙ぐみながらストレチャーで運ばれる私の手を握る。
「瑞希、無事に何事もなく治療が終わるのを祈っていますよ…」

「お兄ちゃんは私のコトよりも、自分の結婚式のコト考えなさいよ」

お兄ちゃんと智咲先輩の結婚披露宴。
二人が出会った『ジュテーム東京』で来月の末執り行われる予定。

「今は瑞希のコトが先決です。智咲に咲、匠も宇佐美社長も無事を祈ってますよ」

「二人して大袈裟だな」
二人の様子とは打って代わって、お父さんだけは冷静だった。

「あの隼介さんの執刀だ。大丈夫だろ?隼也君」

「はい…じゃ行くぞ。瑞希」

隼也さんが私のストレチャーを押して、手術室へと入って行った。



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