HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~

私はそっとメモを制服のポケットの中に押し込んだ。
「一ノ瀬さん」

「あ…相馬先生」
相馬先生が病棟に向かう私を呼んだ。
「早斗(ハヤト)の所にはもう行った?」

「これからです…」

「そう、じゃ一緒に行こうか?」

「はい」
私が担当する患者はゼロ歳から十二歳と幅が広い。
相馬早斗君は相馬先生のご子息で二歳。

******

「パパとみーたんだ」

早斗君は私達を笑顔で迎える。

「おはようございます。一ノ瀬さん」

「おはようございます。眞彩(マヤ)さん」

「今朝の顔色は良いな…早斗」

「うん」

病室には朝早くから、眞彩さんの姿があった。
眞彩さんの父親は大手ゼネコン『桐生建設』代表取締役。相馬先生の父親は大手製薬会社『ソーマ』代表取締役。
二人は令嬢と令息で、元はセフレの関係から始まり、結婚した仲。


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