HONEYBEE(1)~アラフォードクターと一夜から始まる身代わり婚~
引っ越し業者は朝一番の別件に手間取り、少し遅れて正午過ぎに到着。急いで荷物を運び出して新居に向かった。

泥のように眠る隼也さんは全く役に立たず仕舞いで、逆に業者の方が眠る彼を気遣いながら、荷物を運び出して行った。

最後の荷物を運び出し、フーッと吐息をついた私。

「あれ、荷物は?」

彼はムクリと起き上がり、積み上がっていた段ボールの山がないのに気づいた。

「今、運び終わり、隼也さんのマンションに向かいました」

「はぁ?瑞希…どうして起こしてくれなかった??」

「一応起こしましたが、起きなかったのは隼也さんですよ」

彼は慌てた様子で、ベットから出てズボンの後ろポケットに入れていたスマートフォンを取り出して、時間を確かめた。

「充電切れか…」

彼は充電切れで真っ暗な画面のスマートフォンを見て、嘆息する。

「急ぎますよ」

「あぁ」
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