あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
そんなことを考えてたら、東堂製粉所の息子さんがやって来た。


「おはようございます」


穏やかな優しい声。


「おはよう。いつもありがとうね」


あんこさんの元気な声が響く。


「こちらこそ。あ、社長がよろしくって言ってました」


やっぱり…


「たまには一緒に飲みにいこうって言っといてよ。独身同士、傷を舐め合おうって」


「あっ、はい。ありがとうございます、伝えます」


そう、東堂社長も…独身。


残念だけど、数年前に奥様とは離婚されたみたい。


息子さんの東堂 慧(とうどう けい)君もお母さんがいなくなって寂しいだろうな。


「おはよう」


あんこさんが奥に入っていった後、慧君は私に話かけてくれた。


「おはよう、慧君」


「この前聞かれてた小麦粉、新しいの入ったから良かったら使って」


「ありがとう! 嬉しい。お代金は?」


「いいよ、そんなの。それより美味しいパン作って。この強力粉すごくいいから」
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